
睡眠時無呼吸症候群の症状とは?放置するリスクや予防のポイントも解説
「睡眠時無呼吸症候群ではどのような症状が現れるのか」
「放置するリスクや予防するためのポイントは?」
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、寝ている間に呼吸が浅くなったり一時的に呼吸が止まったりする病気です。
英名の頭文字をとって「SAS」と呼ばれることもあります。
日本呼吸器学会によると、成人男性の約3~7%、成人女性の約2~5%に見られるとされています。
一方、検査方法や診断基準により、より高頻度に存在する可能性も指摘されています。
特に男性では40~50代が半数を占め、女性では閉経後に増加する傾向があります。
もっとも、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に現れる症状が多く、医療機関の受診に至らずに放置されているケースが多いのが現状です。
睡眠時無呼吸症候群を放置することで、全身への酸素の供給がうまくできなくなり、さまざまな病気を引き起こすリスクも高まります。
本記事では、睡眠時無呼吸症候群の主な症状や合併しやすい病気などについて解説します。
1.睡眠時無呼吸症候群の主な症状

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が浅くなったり止まったりする状態が複数回にわたって生じます。
具体的には、睡眠中に10秒以上呼吸が止まってしまうことを「睡眠時無呼吸」といいます。
1時間に呼吸が止まっている回数(AHI)が5回以上で、下記のような症状に加え、高血圧などを伴う場合に睡眠時無呼吸症候群の診断となります。
- いびき、呼吸の乱れ
- 睡眠中に頻繁に目が覚める
- 寝汗
- 口が渇く
- 頭痛
- 日中の強い眠気
なお、症状は睡眠時だけでなく、日中の覚醒時にも現れるものがあるため、心当たりがある場合には呼吸器内科や睡眠外来などの専門の医療機関を受診しましょう。
(1)いびき、呼吸の乱れ

睡眠中に呼吸が浅くなったり止まったりする原因として、空気の通り道である上気道が狭くなってしまうことが挙げられます。
上気道が狭くなることで、空気が通過したときに喉の軟部組織が振動し、いびきが引き起こされます。

また、空気の流れが妨げられることで、呼吸の乱れが生じることもあり、いびきと呼吸の乱れは、睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状です。
特に無呼吸に陥るときにいびきが生じることが多いとされています。
上気道が狭くなればなるほどいびきも大きくなり、同居している家族からいびきや呼吸の乱れを指摘されて初めて気づくケースもあります。
日常的にいびきをかいている場合には、睡眠時無呼吸症候群に原因がある可能性も考えられるため、医療機関を受診して検査を受けることも検討しましょう。
(2)睡眠中に頻繁に目が覚める

夜間に頻繁に目が覚めることも睡眠時無呼吸症候群の特徴的な症状です。
これは、呼吸が浅くなったり止まったりすることで、体への酸素の供給が妨げられることで生じます。
一時的に酸素の供給が止まってしまうと、脳は酸素が不足している状態と判断します。
そして、体の機能を維持するために自律神経系を活発化させ、呼吸を再開させようとします。
その際に自律神経が過剰に反応することで、夜間の覚醒が起こるといわれています。
また、いびきの大きさで中途覚醒が起こることもあり、その原因はさまざまです。
なお、体が酸素不足の状態に陥ると心臓に負荷がかかることで、心房性ナトリウム利尿ペプチドと呼ばれるホルモンが放出されることがあります。
これによって、覚醒が起こった際に尿意を感じ、夜間にトイレに行く回数や頻度が増えることもあります。
頻繁に覚醒が起こることで睡眠の質が低下し、朝起きたときに熟睡感を得られないなどの影響が生じることがある点にも注意が必要です。
(3)寝汗

睡眠中に呼吸が止まることで、体は呼吸を再開させようと自律神経系のはたらきを活発化させます。
特に交感神経が優位になることで心拍数や血圧が上昇します。
心臓や血管のはたらきが高められると、体の中で熱を作るはたらきも促進され、体温の上昇によって汗をかきやすくなるのです。
さらに、体が酸素不足に陥ることで交感神経が過剰に反応し、発汗作用が促されることで寝汗を引き起こす原因になることもあります。
睡眠時無呼吸症候群で見られる寝汗は、季節や室内の温度とは無関係に大量の汗をかく点が特徴です。
就寝時の服装や布団などを変えたにも関わらず、大量の寝汗をかく場合には、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性も考えられます。
(4)口が渇く

睡眠中に呼吸がうまくできなくなることで、無意識的に口呼吸をする場合が多いです。
これによって、起床時に口の渇きを感じることがあります。
特にいびきをかいている場合には、口呼吸を行っていることが多いです。
いびきや呼吸の乱れなどの症状を自覚していない場合でも、朝起きた際に口の渇きを頻繁に感じるときには、睡眠時の口呼吸が常態化している可能性があります。
(5)頭痛

睡眠時無呼吸症候群では、起床時に頭痛を感じることがあります。
これは、睡眠中に低酸素の状態に陥ることで、血液中の二酸化炭素濃度が上昇することに理由があります。
血液中の二酸化炭素濃度が上昇すると、血管が拡張し、血液の流れが早くなったり血流量が増加したりします。
そして、脳の血管が拡張して血流量が増加すると頭蓋内圧が上昇してしまい、頭痛を引き起こすことがあります。
締め付けられるような鈍い痛みが頭の左右(両側)に現れ、起床後30分以内におさまる点が睡眠時無呼吸症候群による頭痛の特徴です。
また、睡眠中の低酸素状態が直接の原因であることから、市販の頭痛薬などを服用しても症状が改善しないことが少なくありません。
特に起床時の頭痛が毎日続くような場合には、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性もあるでしょう。
(6)日中の強い眠気

睡眠中に呼吸が浅くなったり止まったりすることで、体は低酸素状態に陥ります。
これによって自律神経系のはたらきに乱れが生じると、夜間の覚醒や頻尿などを引き起こし、睡眠の質が低下してしまいます。
そのため、日中に強い眠気や倦怠感などが現れることも多いです。
特に睡眠中に何度も目覚める場合には、睡眠時間が短くなることで日中の眠気が引き起こされることがあります。
また、睡眠中に自律神経系のはたらきが乱れることで、基礎代謝や体の臓器の機能が低下し、疲労が蓄積しやすくなることも眠気や倦怠感の原因です。
さらに、脳に供給される酸素が低下することで、集中力や判断力にも影響を及ぼすことがあります。
これによって、仕事の能率などが低下し、日常生活にも支障が生じてしまう可能性もあるでしょう。
なお、車の運転中に強い眠気が生じると、重大な事故を引き起こす可能性も高まります。
睡眠時無呼吸症候群を発症している人は、発症していない人と比較すると、日中の交通事故リスクが上昇します。
メタ解析では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の患者の交通事故リスクは、概ね1.2~4.9倍高いと報告されています。
特に重症化すればするほどリスクが高まるとされているため、睡眠中に何度も目が覚める場合や日中に強い眠気が現れる場合には、睡眠外来などで検査を受けることがおすすめです。
2.睡眠時無呼吸症候群の分類

睡眠時無呼吸症候群は、引き起こされるメカニズムの違いから以下のような分類ができます。
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
なお、睡眠時無呼吸症候群の大半は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。
いずれの場合であっても、治療をせずに放置することで症状が悪化したり後述する合併症などを引き起こしたりするリスクが高まるため、早期に治療を行うことが大切です。
(1)閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、上気道や喉が狭くなることによって引き起こされます。
上気道や喉が狭くなる理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 肥満
- 顎の構造
- 舌根沈下
- 鼻炎による鼻づまり
- 扁桃肥大
- 飲酒の習慣 など
特に肥満によって喉や首に脂肪が蓄積されると、上気道などを圧迫して空気の流れが悪くなることが多いです。
また、顎が小さい場合や後退している場合には、上気道のスペースが狭くなり、睡眠時に呼吸が浅くなりやすくなります。
なお、アルコールには筋肉を弛緩させるはたらきがあり、日常的に飲酒をしている場合には睡眠時に喉の筋力が低下し、舌根沈下が生じて上気道や喉が狭くなることもあります。
このように、生活習慣や骨格的な特徴などの要因がいくつか重なることによって引き起こされる可能性が高まります。
このほか、鼻炎などの鼻の病気が原因として喉や上気道が狭くなることもありますが、原因となる病気を治療することで改善することがほとんどです。
(2)中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)は、脳のはたらきに異常が生じることで引き起こされます。
呼吸は、脳にある脳幹と呼ばれる部分が関わることで営まれる活動です。
具体的には、血液中の二酸化炭素濃度が変化すると脳幹から筋肉に対して信号が伝達され、呼吸の維持・調整が行われます。
しかし、脳に何らかの異常が生じることで、この反応が適切に行われなくなり、睡眠時の呼吸に異常が見られることになります。
そのため、喉や上気道自体には異常が見られないことがほとんどであり、いびきが起こらないことが多いです。
CSASは、心不全や脳梗塞などを基礎疾患として持っている場合に合併しやすいことが知られています。
特に心不全などによって心肺機能が低下している症例の約12~49%に合併するという報告もあります。
心臓のはたらきが低下することによって血液の循環に異常が生じ、これに呼吸中枢がうまく反応できないことで引き起こされることが多いです。
また、脳梗塞などの影響によって脳の呼吸中枢自体が機能低下に陥ることで睡眠時の呼吸の乱れなどが現れる場合もあります。
なお、心不全などの心疾患に合併すると、「チェーン・ストークス呼吸」と呼ばれる特徴的な異常が見られることがあります。
これは、無呼吸の後に呼吸が徐々に大きくなり、その後に徐々に小さくなる呼吸パターンです。
睡眠時だけでなく日中の覚醒時にも見られることがあり、この呼吸パターンが出現する頻度が高いほど心不全の予後が不良であることも知られています。
3.睡眠時無呼吸症候群を放置するリスク

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠や生活の質を低下させる原因にもなります。
しかし、それだけにとどまらず、ほかの病気を引き起こすリスクも高いです。
具体的には、以下のような病気の発症にも関わることが知られています。
- 高血圧
- 糖尿病
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 脳卒中
順にご説明します。
(1)高血圧
睡眠中に低酸素の状態に陥ると、自律神経系のはたらきが活発化し、心拍数や血圧が上昇します。
これが長期間にわたって繰り返されることで、高血圧を引き起こすリスクが高まります。
例えば、睡眠時無呼吸症候群の患者の約70%に高血圧が合併するという報告もあります。
また、高血圧を基礎疾患として持つ人の約10%に睡眠時無呼吸症候群が見られるという研究もあり、お互いに影響を及ぼし合っているといえるでしょう。
特に重症度が高くなればなるほど高血圧も重篤化し、血圧を下げる薬(降圧薬)を用いても症状が改善しにくいです。
高血圧は自覚症状がほとんどなく、睡眠時無呼吸症候群も目立った自覚症状がないため、本人も気づかないうちに進行・悪化してしまうケースも珍しくありません。
そのため、睡眠時無呼吸症候群の早期発見と適切な治療を開始することが高血圧のリスクを抑えるためにも重要です。
なお、高血圧は次に述べる糖尿病の発症とも関連があることが知られています。
高血圧と糖尿病の関係や高血圧の治療に用いられる降圧薬の種類・特徴などについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
(2)糖尿病
糖尿病は、膵臓から放出されるインスリンというホルモンのバランスが崩れることで、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。

睡眠時無呼吸症候群による低酸素や睡眠不足が続くと、体の細胞へのインスリンの作用が弱められてしまい、血糖値が高い状態が続くことで糖尿病を発症することがあります。
特に睡眠時無呼吸症候群の患者は、そうでない人と比較すると、糖尿病の発症リスクが約2倍という報告もあります。
また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、肥満によって喉や首に脂肪が蓄積されることで引き起こされることがあります。
そして、肥満はインスリンのはたらきを弱め、糖尿病を引き起こすリスク因子としても知られているため、注意が必要です。
なお、糖尿病は発症メカニズムの違いによって1型と2型に分かれますが、睡眠時無呼吸症候群が発症に関わるとされているのは2型糖尿病です。
2型糖尿病は緩やかに進行・悪化し、初期段階では目立った自覚症状が現れないことにも特徴があります。
2型糖尿病の発症メカニズムや症状の進行ステージなどについては、以下の記事も参考になります。
(3)心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
低酸素による心拍数や血圧の上昇は、血管内部にダメージを与えます。
そして、血管の内部が傷つくことで血液の成分(コレステロールなど)が沈着し、血管が狭くなったり詰まったりするリスクが高まります。
特に心臓の動脈(冠動脈)が傷つくことで、狭心症や心筋梗塞などの病気を引き起こすリスクも高まることに注意が必要です。
狭心症は、冠動脈の内部が狭くなることで、心臓の筋肉(心筋)に十分な酸素や栄養素を運ぶことができなくなる病気です。
主に動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状が見られます。
これに対して、心筋梗塞は冠動脈が詰まってしまい、心筋に酸素などを運ぶことができなくなる病気です。
心筋梗塞では、締め付けられるような胸の痛みや不快感、呼吸困難などの症状が見られます。
心筋への酸素などの供給が停止すると、心筋が壊死し、それが広がることで心臓の機能が停止して生命に関わるリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群では、心拍数の異常などによって、不整脈や心房細動などの病気を引き起こすこともあり、そのリスクは睡眠時無呼吸症候群ではない人と比較して約3~5倍であるという研究もあります。
(4)脳卒中
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで発症する病気の総称です。
具体的には、脳の血管が詰まることで引き起こされる「脳梗塞」や血管が破れてしまう「脳出血」などが含まれます。
血管の詰まりや出血が脳のどの部分で生じるかによって現れる症状は異なりますが、主に激しい頭痛や体の片側の麻痺、呂律が回らないなどの症状が特徴的です。
脳卒中を引き起こす主な原因は高血圧ですが、睡眠時無呼吸症候群による血液中の酸素濃度の低下が加わることで、脳卒中の発症リスクが高まることが報告されています。
特に睡眠時無呼吸症候群の症状が重篤であればあるほど脳卒中のリスクも高まり、海外では脳卒中の発症・死亡リスクが約3倍になるという研究もあります。
なお、脳卒中の治療ガイドラインでも睡眠時無呼吸症候群との関連が指摘されています。
また、エビデンスレベルは低いものの、脳卒中の予防のために睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことを考慮してよいとされています。
4.睡眠時無呼吸症候群を予防するためのポイント

睡眠時無呼吸症候群の中でも、その大半を占める閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、肥満などの生活習慣の乱れによって引き起こされるリスクが高まります。
そのため、生活習慣を改善することで、睡眠時無呼吸症候群を予防する効果が期待できます。
具体的には、以下の点を意識しましょう。
- 適正体重を維持する
- アルコールの摂取を控える
- 禁煙する
- 症状に心当たりがある場合は医療機関で検査を受ける
生活習慣を整えることは、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善させる上でも重要です。
(1)適正体重を維持する
OSASは上気道や喉が圧迫されて狭くなることが主な原因です。
そして、上気道などの圧迫は、肥満による首周りへの脂肪の蓄積から引き起こされることが多いといえます。
そのため、食事の栄養バランスを整え、適度な運動習慣を取り入れることで、適正体重を維持することが大切です。
具体的には、以下の計算式に従って算出されるものが適正(標準)体重とされています。
- 適正(標準)体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
肥満は高血圧や糖尿病の発症リスクも高めるため、すでに肥満体型に陥っている場合には、減量することで睡眠時無呼吸症候群だけでなく、これらの病気のリスクを抑える効果も期待できるでしょう。
もっとも、急激な食事制限や激しい運動を行うことで、却ってリバウンドを招く可能性もあるため、無理のない範囲で少しずつ減量に取り組み、維持していくことが重要です。
(2)アルコールの摂取を控える
アルコールには筋肉を弛ませるはたらきがあり、過度な飲酒の習慣がある場合には、喉の筋力が低下し、上気道などが狭くなってしまう原因にもなります。
特に就寝前の飲酒によって上気道や喉が塞がり、いびきや呼吸の乱れが生じることにつながるため、就寝前のアルコールの摂取は控えましょう。
また、睡眠時無呼吸症候群の有無に関わらず、過度な飲酒によって睡眠の質が低下し、睡眠中に覚醒する頻度が増えることもあります。
睡眠時無呼吸症候群を予防するためにも、アルコールの摂取量を控えるとともに、少なくとも就寝する4時間前からは飲酒しないようにしましょう。
(3)禁煙する
喫煙の習慣がある場合には、禁煙することも睡眠時無呼吸症候群を予防する上では有益です。
タバコの煙には複数の化学物質が含まれており、煙を吸い込むことで鼻や喉の粘膜などが刺激され、炎症が生じやすくなります。
また、口蓋扁桃などにも炎症やむくみが広がると上気道が狭くなり、呼吸がしにくくなると睡眠中に呼吸が乱れたり止まったりするリスクが高まります。
喫煙の習慣があると、睡眠時無呼吸症候群の有無に関わらず、いびきをかきやすくなることも知られています。
このほか、タバコに含まれるニコチンには中枢神経を刺激して覚醒効果をもたらすため、睡眠の質を低下させ、睡眠中に中途覚醒が起こりやすいです。
これらが影響を及ぼすことで睡眠時無呼吸症候群を引き起こすリスクが高まるため、喫煙の習慣がある場合には禁煙に取り組むことが睡眠時無呼吸症候群の予防につながるでしょう。
なお、喫煙の習慣はさまざまな病気の発症・悪化リスクを高めることが知られています。
発症や悪化にタバコが関係する病気や禁煙治療の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
(4)症状に心当たりがある場合は医療機関で検査を受ける
いびきや呼吸の乱れ、日中の強い眠気などが長期間にわたって続いている場合には、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
そのため、症状に心当たりがある場合や睡眠時のいびきなどを指摘された場合には、睡眠外来などの医療機関を受診して精密検査を受けることがおすすめです。
特に以下のような場合には、なるべく早期に睡眠外来などを受診することを検討しましょう。
- いびきの大きさや呼吸が止まっていることを指摘された
- 夜中に何度も目が覚める
- 日中に強い眠気が現れる、思わず居眠りしてしまう
- 肥満傾向にある(目安としてBMIが25以上)
- 高血圧の治療を受けていても数値が改善しない など
睡眠時無呼吸症候群の診断や重症度の判断には、「AHI(無呼吸低呼吸指数)」と呼ばれる指数が用いられます。
これは、睡眠中の1時間あたりに認められる無呼吸または低呼吸の回数を表したものです。
睡眠時無呼吸症候群は、1時間に無呼吸または低呼吸が5回以上現れた場合に診断されますが、その重症度は以下のような基準で判断されます。
| AHIの数値 | 重症度の判定 |
| 5~15未満 | 軽症 |
| 15~30未満 | 中等症 |
| 30以上 | 重症 |
軽症の場合には、体重の管理や生活習慣の見直しなどによって症状を改善できることも多いです。
しかし、中等症以上になると生活習慣の改善だけでは難しく、専門的な治療が必要となります。
具体的には、睡眠時に空気が送り込まれるマスクを着用し、上気道が塞がることを防ぐCPAP治療がとられることが一般的です。
もっとも、CPAP治療に保険が適用されるには、自宅での睡眠時の簡易検査でAHIが40以上となること、あるいは専門の医療機関での精密検査(PSG検査)でAHIが20以上となることが条件です。
精密検査(PSG検査)は専門の医療機関で脳波や筋電図などを計測して詳細な検査を行いますが、入院が必要となります。
そのため、簡易検査の結果、AHIが40未満であった場合には、精密検査(PSG検査)を受けなければCPAP治療に保険が適用されませんでした。
しかし、2026年6月よりCPAP治療への保険適用の条件が緩和され、簡易検査でのAHIの数値が30以上、精密検査(PSG検査)でのAHIの数値が15以上となると保険適用となります。
これによって、今までと比較するとCPAP治療をスムーズに受けることが期待できます。
まとめ
本記事では、睡眠時無呼吸症候群の主な症状や放置するリスク、予防のポイントなどについて解説しました。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に大きないびきが出たり、呼吸が止まったりするだけでなく、高血圧や心疾患などの重大な病気を引き起こす原因にもなります。
しかし、症状のほとんどが睡眠中に現れるため、本人も睡眠時無呼吸症候群であることに気づきにくいことが多く、医療機関の受診や検査に至らないケースも少なくありません。
治療をせずに放置することで、さまざまな病気を発症するリスクも高まるため、睡眠時のいびきや日中の強い眠気、肥満の傾向がある場合には、一度専門の医療機関を受診することをおすすめします。



